今日は、マンション購入における懸念点についてお話ししようと思います。
はじめに
私がマンションを買うことに否定的なのは、マンションをよく理解していないからです。
投資の神様のバフェットの基本方針にあるように、分からないものに投資してはいけません。そのため、マンションを買う場合に備えて疑問を解決するべきです。
まずは以下の疑問について自分なりの回答を出したいと思います。
疑問
「マンションの管理が第三者管理方式だと、管理を受託した管理会社が同じグループ会社に利益が回るように動く可能性があるので、住民は損害を被るのでは?」
前提知識
まずは新築マンションに関わる人・団体・専門用語について説明します。
分かりやすさ重視のため例外があっても無視する等、100%正確な説明とは限らない点ご了承ください。
新築マンションの売主となる不動産会社をデベロッパーと言います。土地を仕入れ、商品企画を行い、設計事務所や建築会社(ゼネコン)を使って、建物を作ります。
完成したマンションを買った人のことを区分所有者と言います。区分所有者は管理組合という団体を結成し、その中から選ばれて業務を執行する理事会が組織されます。代表者は理事長(管理者)です。
さて、マンションにはその価値の維持のための管理業務があります。例えば無断駐車の取り締まり、エントランスの掃除、エレベーターの点検です。
これらの中には専門的なものも多いです。そのため、管理組合で総会を開き話し合って決め、理事会・理事長が外部業者に発注します。しかし、普段はみんな普通のサラリーマン。もし理事会のメンバーになってしまうとせっかくの休日が削られてしまいます。
そこで、多くの場合、全ての管理業務はその道のプロである管理会社に委託されます*1。
第三者管理方式は3パターンあります。
- 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
- 外部管理者理事会監督型
- 外部管理者総会監督型
簡単に説明すると、
です。
1と2は理事会が存在するため、住民(区分所有者)の負担はゼロにはなりません。そのため、理事会がない3を選べばラクになりますし、3前提でマンションを企画・販売しているデベロッパーもいるでしょう。
しかし、この3には次のようなリスクがあります。
利益相反の可能性
外部管理者総会監督型を図解すると以下のようなります。
理事会がないため、管理者が管理組合の代表となります。
注目していただきたいのは、管理業務を発注する管理者と、それを受注する管理会社が別人かどうかです。
左の図は別人のため、管理者は管理会社をチェックすることができます。例えば工事を発注する際に高額な見積もりを出してきたら、「もっと下げろ!(さもなくば他に当たるぞ)」と言えます。
一方で右の図は同一のため、管理者は管理組合のためできるだけ安い金額で発注すべきところ、管理会社(自分自身)や親会社たるデベロッパーの利益になるように高い金額で発注することが起こりえます(これを利益相反と言います)。
もちろん、中には管理組合側に立って動いてくれる管理会社もいるでしょう(それが大多数と信じたいです)。また、外部管理者総会監督型とあるように、このようなことが起こらないように総会がチェックできる仕組みになっています。
しかし、そもそもマンションの管理が面倒だから管理会社に丸投げした住民たちは、チェックしたり利益相反をしている管理会社をクビにして代わりを見つけたりするような労力を惜しまないでしょうか。
おそらく何もできずに管理会社の言いなりにならざるをえないでしょう。
対策としては専門的な知識を持ったマンション管理士や公認会計士などに監事になってもらうことですが(上図の通り、監事は管理者を監視します)、当然高い報酬を支払うことになります。
回答
疑問
マンションの管理が第三者管理方式だと、管理を受託した管理会社が同じグループ会社に利益が回るように動く可能性があるので、住民は損害を被るのでは?
回答
一概には言えないが、そうなる(住民が損をする)場合がある。
対策としては、
- 形態が管理者≠管理会社か、外部の監事がいるマンションにする
- 管理会社を信じる
- デベロッパーの株を買う
こと。
参考文献
*1:国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」P.288によれば、全部委託管理を採用しているマンションは全体の74.1%