今日は、前回の続きをお話ししようと思います。
おさらい
前回の記事で、日本でキャッシュレス決済が普及しない理由の一つは加盟店手数料が高いからだと申し上げました。
主要国のクレジットカードの加盟店手数料※
日本・・・3.25%
米国・・・2%
EU・・・0.7%
※加盟店の規模や業種により異なります。
なぜ高いのか?
この謎を解くには、そもそもクレジットカードを用いた取引の流れについて知る必要があります。下図をご覧ください。
①カード会員(消費者)が加盟店(販売店)にて、クレジットカードを用いて商品を購入
②加盟店は、アクワイアラ(加盟店と契約しているクレジットカード会社)に商品代金を請求
③アクワイアラは、国際ブランドを経由して、イシュア(クレジットカード発行会社)に商品代金を請求
④イシュアは、国際ブランドを経由して、アクワイアラに商品代金の立替払をする。イシュアは、当該立替払をする際に、インターチェンジフィーを差し引く
⑤アクワイアラは、加盟店に商品代金の立替払をする。アクワイアラは、当該立替払をする際に、加盟店手数料を差し引く
⑥イシュアは、カード会員に商品代金を請求する
⑦カード会員は、イシュアに商品代金を支払う
⑧イシュアおよびアクワイアラは、国際ブランドに手数料を支払う
※この他に、CAFISなどのネットワーク利用料やアクワイアラのシステム利用料などのコストが必要となるが、利用条件によって異なり複雑になるため説明は省略
上記を読んで、加盟店手数料が高額な理由はインターチェンジフィーが高いからでは?と推測できた人、天才です。
高額なインターチェンジフィーとその理由
日本・・・2.3%(経産省の試算)
米国・・・1.3%※
EU・・・0.3%
※業種や国際ブランド(例:Visa、Mastercard)により異なる
日本はなぜ高いのか?それは、イシュア(クレジットカード発行会社)がカード会員(消費者)から金を取らない(取れない)、むしろ配るビジネスになっているからと思われます。
入国者の皆様の多くが当てはまるかと思いますが、お持ちのクレジットカードは年会費が無料ではありませんか?また、カード会社からの請求を月1回で払っておりリボ払いはしていないのではないでしょうか?
これは、カード会社がコストをカード会員から年会費や金利収入で回収することができていないということです。それどころか、利用額に応じてポイントを還元してしまっています。
ちなみにアメリカのイシュアは総収入のうち金利収入が56%、インターチェンジフィーが33%と金利収入の方が多いです。
まとめ~キャッシュレス決済普及のために
日本でキャッシュレス決済が普及しない理由は加盟店手数料が高いせいで、それはインターチェンジフィーが高いせいで、それはカード会社が客からコストを取れないせいと推測されます。
ここで皆様に、そもそもこのクレジットカードという仕組みをタダどころかキャッシュバックも受けながら使えることを考え直していただきたいのです。
こんな素晴らしい便利なシステムにはフリーライドせず、多少の費用負担は必要なのではないでしょうか。それが回りまわって商品の価格に返ってくるはずです。
参考文献